むらかみの雑記帳

Android とか iOS とかソフトウェア開発に関するネタ帳

HTTPS を使ってるアプリを AppStore や Android Market で配信するときの輸出手続きについて(その4) - 商務省BISに暗号登録してみたよ!

'12/11/24: このブログの内容をもとに Amazon Kindle ストアで電子書籍を出版しました。

スマートフォンアプリ配信の輸出管理

スマートフォンアプリ配信の輸出管理

その3までで終わるつもりだったのですが、せっかくなので米国商務省BISに暗号登録までやってみました。

参考にしたのはこちらのブログです → Apple iTunes export restrictions on apps

やってみたら思いのほか簡単に ERN 取得できたので、やり方を書いてみようと思います。

登録するアプリについて

登録するアプリは、今開発中のこれです。

どこで暗号を使っているかというと、Twitter でツイートするところです。認証部分のところですね。このアプリは iOS5 専用で作っていて、Twitter のライブラリは iOS5 標準搭載のを使ってます。

みてわかる通り、このアプリはホームユースなので、その2に書いた通り Category 5, Part 2 には該当しません。また、該当したとしてもそもそも Twitter の認証でしか https を使ってないので、5D992-NLR で申告なしで輸出可能です。

にも関わらず、なぜ暗号登録をしたのか?理由は、単に暗号登録をしてみたかったからというだけです。我ながらマゾだと思いますw

追記: ちょっと勘違いしていたのですが、ERN は製品ごとではなくて、ベンダごとに1個とればよいようです。私は既に取得したので、今後は取る必要はないということですね。iOS に搭載されている標準暗号しか使わない場合は、ERNさえ最初にとっとけば製品毎に個別に申請はしなくていい、、、と思います。

SNAP-R への登録

まず最初にやるべきことは、SNAP-Rでのアカウント登録です。

これは SNAP-Rのサイトにいって、”Register online for a SNAP-R account”と書いてあるリンクをクリックして登録するだけです。個人で登録する場合、Company Name には個人名を入れて登録すればいいでしょう。

フォームに記入/送信が完了してしばらくすると、BISからメールが飛んできます。あとは記載されているリンクに従ってアカウント設定をすれば完了です。

EAR Part 742, Supplement 5 の資料を作成

ここが一番面倒なところです。BIS に提出する資料の作成です。

資料は、EAR Part 742 の末尾のほうにある "Supplement 5" に回答する形で作ります。PDF でしか書類を受け付けてくれないので、Word で作って PDF にするなりしてください。今回は Google docs で作りました。

Google docs 上にテンプレートを作成しましたので、参考にしてください → テンプレート

また、私が作成した資料をここにおいておきますので、煮るなり焼くなりどうぞ (住所とかは伏せてあります)

SNAP-R 上で暗号登録

いよいよ SNAP-R で暗号を登録します。

SNAP-R にログインしたら、画面左にある "Create Work Item" をクリックします。新規 Item の作成画面になりますので、"Encryption Registration" を選びます。(番号分類申請するときはこっちじゃなくて、Common Classification Request になるので注意)。Reference Number はアルファベット3文字 + 数字4文字で適当につけていいです。ここでは安直に "ERN0001" にしました。

登録画面になりますが、基本的なフォームは全部埋まっているはずです。画面一番下の「Documents attached to application」のところに、先ほど作成したドキュメントをアップロードします。"View and Manage Supporting Document" のリンクをクリックし、"Upload Supporting Document" をクリックすると、アップロード画面になります。

Document Type は "Encryption Registration Supp. No.5 to Part 742" を選びます。あとは適当で。

アップロードが終わったら、Item に戻り、「Preview Work Item to Submit」を押します。確認したらもう一度 Submit。

最後に署名画面が出ますので、名前や Title を入力します。名前は、Firstname 一文字 + "." + Lastname で書く必要があるので注意。

終わったら、画面左にある "View Messages" を見ると、メッセージが届いています。これを開くと ERN 番号が書いてあります。

f:id:tmurakam:20111011192013p:image

おめでとう、これで ERN 取得完了です!!!

あとは、この画面をキャプチャしておきましょう。iTunes connect でアプリを登録するときに、このキャプチャした資料を添付すれば OK です。

まとめ

これで無事 ERN を取得できました。

マスマーケット暗号 742.15(b) に該当するアプリで iOS に搭載されている標準暗号のみを使用するアプリの場合(つまり 742.15(b)(1) に該当する場合)、さしあたり iTunes connect へのアップロード時にこの ERN を提示すればその場でアプリを提出できます。

あとは、年1回の自己番号分類報告を作成してBISにメールで送付する必要があります。が、これは簡単な CSV ファイルを作って送るだけなので、そんなに大変じゃない、、、、と思います。

なお、非標準暗号を使っている場合 (742.15(b)(3)に該当する)はやや面倒で、BIS に番号分類申請をして CCATS を取得する必要があります。

Android Market でも、基本的には同じ手続きをしておけばよいかと思います。

10/12: まとめの内容を訂正しました (742.15(b)(4)が事実上使えないことがわかったため)