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むらかみの雑記帳

Android とか iOS とかソフトウェア開発に関するネタ帳

開発者向けに Google Play と AppStore のアプリ販売消費税の扱いの違いをまとめてみた

Google Play や Apple AppStore でのアプリ販売について、開発者・販売者の立場から見た時の消費税の扱いが全然違うっぽい。ので、調査したメモを備忘録として書いておきます。さしあたり、日本国内向けについてだけです。

注意:私は税務の専門家じゃないので、内容については一切保証しません。不安があるかたは税の専門家に相談してください。この記事に信じたことによって何らかの損害を被ったとしても、当方は一切関知いたしません。

Apple AppStore の場合

Apple AppStore での消費税の扱いについて。

  • 日本国内の売上に関しては iTunes KK が代理店(Agent)として販売を代行します。iTunes KK は日本国内の法人です。
  • (日本に限りませんが)開発者は課税設定は一切行う必要はありません。全部 Apple 側が指定します。
  • 日本国内売上については、売上の 5% の消費税が iTunes KK により徴収されます。ただし、消費税を当局に納めるのは開発者の責任です。
  • AppStore 上でユーザに提示される価格は税込価格です。
  • 国内売上手数料の支払先は iTunes KK です。
  • iTunes KK に支払う 30 % の手数料(コミッション)は、税込価格の 30% です。手数料には消費税が含まれます。当然ですが、手数料に含まれる消費税は、iTunes KK が日本の当局に納めることになります。

なお、有料販売の契約書にも消費税のことはきちんと書かれています。

4. Delivery of Licensed Applications to end-users in Japan

Where You designate iTunes KK to allow access to the Licensed Applications to end-users in Japan:

4.1 You acknowledge and agree that You have the sole responsibility for: (i) consumption tax output liability,
if any, with respect to delivery on Your behalf of Your Licensed Applications to end users by iTunes KK; (ii)
filing of consumption tax returns and payment of consumption tax to the Japanese government, if applicable;
and (iii) determining independently, in consultation with Your own tax advisor, Your taxpayer status and tax
v12
payment obligations for consumption tax purposes.

4.2 Commissions charged by iTunes KK to Japan resident developers will include consumption tax.

また、毎月一度 Apple から "JCT Tax Advice" という文書(JCT は Japan Consumption Tax の略)が PDF で送られてくるのですが、ここに消費税額が明記されています。具体的にはこんな感じの表示になります (金額は架空)

財務情報
  売上金                105,000
  コミッション(税込み)  -31,500
  計                               73,500

コミッション請求
  コミッション          -30,000           
  消費税                            -1,500
  計                               -31,500

ここでは、売上が税込105,000円の場合を例にしています。この場合、Appleに支払う手数料は税込31,500円になります。

Google Play の場合

これに対し、Google Play の場合は、正直わけわかめです。

  • Google Play では、アプリの販売は売主と買主の直接契約とされています(これはGoogle Walletの販売者向け利用規約に記載されています)。
    • AppStore が代理店経由となっているのとは対照的です。
  • 開発者は課税設定を自分の責任で行わなければなりません。Google は面倒見てくれません。
    • 開発者は Google Checkout サイト上で、各地域ごとの税率設定を行う必要があります。
  • 国内売上については、上記税率設定で計算される消費税を含む金額が Google Payment Japan により徴収されます。消費税を当局に納めるのは開発者の責任です。(これはAppStoreと同じ)
  • Google Play 上でユーザに提示される価格は税抜価格です。('12/5/21から税込価格に変更になります。詳細は追記参照)
    • 消費税の総額表示義務的にどうなんでしょうか、、、。もちろん購入確認時には税込価格は表示されますが。
    • なお、総額表示になっているアプリもありますが、これは税率を指定していない(0%に指定している)ベンダです。詳細は1つ前のエントリに書きました。
  • 手数料の支払先が誰なのか不明確です。米国 Google Inc. なのか、日本の Google Payment Japan なのかどっちかはっきりしません。Android マーケット デベロッパー販売/配布契約書を見るかぎりでは米国 Google Inc. だろうとは思うのですが、Google Wallet の契約書が対 Google Payment Japan なので混乱ぎみ。
  • 手数料は売上の 30% ですが、これは税抜価格の 30% として計算されます。手数料には消費税が含まれるのか判然としませんが、後述するようにたぶん含まれないと思っています。
    • 手数料に消費税が含まれる場合、Google がその消費税額分を日本の当局に納めることになります。含まれていない場合はもちろん納めないです。

具体的に例を示します。消費税率を 5% に設定し、1,000円のアプリを1本売ったとすると、以下のようになります。

 売上         1,000
 税額            50
 ------------------
 請求額計     1,050
 支払手数料    -300
 ------------------
 受取額         750

さて、上述したように支払手数料 300 円に消費税が含まれるかどうか?が問題になります。課税事業者の場合、ここに消費税が含まれるかどうかによって仕訳も当局に納める消費税額も変わってくるからです。消費税が含まれていれば仮払消費税になるので仮受消費税と相殺できるわけですが、含まれていない場合は相殺できません。

仕訳としては以下のようになるでしょう。

消費税が含まれていないならば:

     売掛金           750    売上              1,000
     支払手数料     300    仮受消費税等      50

消費税が含まれているならば:

     売掛金           750    売上              1,000
     支払手数料     286    仮受消費税等      50
     仮払消費税等    14

私の推測ですが、この支払手数料は不課税取引であり、消費税は含まれていないと思います。理由は以下の3点です。

  • 手数料が「税抜」価格の 30% として計算されている。
  • 以下画像にある通り、Google Checkout の販売者取引明細を見ると、ユーザへの請求額には '消費税\xxを含む' の記載があるが、取引手数料については一切記載がない。(ちなみに 「?」のリンク先はここです。税の記載はありません。)

  • 支払い先が Google Inc. の場合、役務提供地が米国のため不課税取引となり消費税は課税されない。
    • Google Play の手数料支払は、いわゆる役務に対する支払である。この役務、つまり Google Play でのアプリ掲載、ダウンロードなどの役務は、米国 Google, Inc. が提供している。
    • この場合、消費税の課税判定は役務の提供場所で判定することになっている (国税庁No.6210国外取引 (1) ロ あたり)

手数料に消費税が含まれるかどうかは Google に対して再三問い合わせているのですが、まともな回答は一度も貰っていません。もうなんだか「Google Play」という名前が「放置 Play」に見えて仕方がありませんw

なお、Google の規約である「Android マーケット デベロッパー販売/配布契約書」には以下の記載があります。

3.2 デベロッパーが設定した対象製品の価格に基づいて、デベロッパーが受け取る金額が決まります。販売価格
に対して販売手数料(下記で定義)が課され、支払い処理業者、および認定携帯通信会社(該当する者が存在す
る場合)に分配されます。販売価格から販売手数料を差し引いた残額が、デベロッパーに送金されます。販売手
数料はこちらに記載されています。なお、販売手数料はGoogle が適宜改訂することができます。デベロッパーは、
対象製品が販売される課税区域ごとに、回収する支払い処理業者について、対象製品が課税対象かどうか、およ
び適用される税率を判断する責任を負います。デベロッパーは、適切な課税当局に納税する責任を負います。

一旦 Google Inc. に支払ったあと、支払い処理業者(Google Payment Japan や、キャリア課金の場合は各キャリア)に代金が分配されるということでしょうか?

とりあえずまとめ

まず、AppStore の場合。税率設定は特に必要ありません。JCT Tax Advice にユーザから預かる消費税と、iTunes KK に支払う消費税が記載されているので、それぞれ仮受消費税、仮払消費税で処理すればオーケー。

次に、Google Play の場合。Google Checkout で課税設定を行い、日本国内に対して 5% を設定します。
売上には 5% の消費税が含まれるので、これを仮受消費税として処理します。そして、Google に対する手数料支払は不課税取引として処理します(仮払消費税は0です)

なお、これは日本国内ですが、海外販売は Sales Tax とか VAT とか入ってくるのでさらにややこしくなります。AppStore は各国に対応した会社(欧州なら iTunes Sarlとか)が税の徴収と当局への納付をやってくれる地域が大半ですので楽です(やってくれない国もあるようですが)。Google Play は例によって何もしてくれないので、割りと死ねるんじゃないかと思います。

# そういえば、Apple は W-8BEN 提出とかがあるのに Google Play は一切ないんですが、源泉徴収とかしなくて大丈夫なんですか Google 先生。

、、、ということで自分の中では整理しました。とはいえ、税務にかんしてはかなり素人なので、詳しい方、間違いがあれば指摘してくれるとありがたいです。

3/28 補足: W-8BEN の件ですが、売主と買主の直接契約だから、Google は源泉徴収しないということみたいですね。

また、取引手数料に含まれる間接税については EU でも悲痛な声が(内容はやや古いですが)。EU でもやはり Google は手数料に VAT を含めていない模様。legal にやるなら、きちんと VAT を徴収して VAT Invoice を出さなければならないはずですが、Google は VAT Invoice を出しておらず、売主は VAT が入っていないものとして扱わないといけないようです。したがって、売主は税額控除ができず、皆さん困っているようですね。


'5/12 追記: Google から連絡があり、5/21 からようやく価格表示が税込価格になるそうです ⇒ Transition to tax-inclusive pricing on Google Play
これで総額表示義務に関しては問題解消しますね。

'2013/11/27追記: W-8BEN の件ですが、現在は Google Wallet Merchant Center 内で税務情報(Certificate of Foreign Status, W-8BEN相当)を登録するようになりました。